力学の公式達1

現在学生のかたに向け

また将来、吾子に「物理の公式いっぱいで大変だ」と嘆げかれ、泣きついてきたとき

「私も物理嫌い」と気持ちの同調を主張し慰めるのもよいだろうが、少しでも食いついて共通の敵を倒すことで結束力を高めるのもまた良いだろう。

 

力学には基本法則となる3法則がある。またこの第2法則に当たる「運動方程式」は力学の基礎方程式といい、基礎方程式とは、物理学のそれぞれの分野で礎に鎮座している賢者達である。

 

一旦ここでは、運動方程式だけ取り上げる

                     m\dfrac{d^2\ x}{dx^2}=\ F

mは質量、xは位置、Fは力である。左辺第2項の二階微分はaと書き「加速度」である。

      a=\dfrac{d^2\ x}{dx^2}

高校では微分を使うなと指導要領のお達しがあるため、テストなどでは使えないが公式の導出や、覚えるものを減らすために便利なアイテムである。

高校では簡単に  ma = F  と書かれることが多い。

 

今回の目標は以下に挙げる4公式を導出することである

                等速度のとき   x = x_0 + v_0 t

     等加速のとき      x = x_0 + v_0t + \frac{1}{2}\alpha t^2

              v = v_0 + \alpha t

                              v^2 - {v_0}^2 = 2\alpha(x^2 - {x_0}^2)

 

さて、導出をする前に道具としての微積分を学ぼう。ゲームのルールくらいに考えてほしい。

加速度は位置の2階微分であり、速度の1階微分である。速度は位置の1階微分である。

加速度 ⇒ 速度 ⇒ 位置

  (積分)  (積分) 

 

位置 ⇒ 速度 ⇒ 加速度

  (微分)    (微分

 

・ルール1

 微分はnを0、1、2、3...のような0を含む自然数として \dfrac{d\ x^n}{d\ x} = nx^{n-1}とする操作である。もともとの肩の数字を前に、xの肩の数字を1だけ下げる。  

具体的には \dfrac{d\ x^3}{d\ x} = 3x^2となる。

 

運動方程式の場合 xを時間tで微分しているので分母分子の文字が違うが恐れることはなく、位置xは時間tによるので「xは時間tの関数」と呼び、わかりやすいようにx(t)と書くこともある。

目標の式のx=で書かれている式の左辺は時間変化しない「定数」と変化する時間tからなっているように微分を計算するのは右辺なのでtで微分するのは変なことではないことがわかる。

 

・ルール2

 足し算でつながっているものを微分するとき、各項にルール1を使う

 例えば、 x = 3t^2 + tのとき

      \dfrac{d\ x}{d\ t} = 3*2 t^{2-1} + 1*t^{1-1} (*は掛け算)

            t^0=1なので (後日記事に)     =6t^1 + t^0= 6t + 1

・ルール3

 定数だけなら0、定数×時間ような変数なら定数は微分の前に掛ける

v_0やただの数字などの定数は微分すると0になる。

また x = v_0tのようなときは定数は無視して

  \dfrac{d\ x}{d\ t} = v_0 * 1*t^{1-1}

       = v_0となる。

・ルール4 積分

 微分の逆操作であり \displaystyle \int\ x^n dx = \frac{1}{n+1} x^{n+1}

微分の逆操作であるので0を積分すると定数が現れ、定数1であれば

 \displaystyle \int\ 1 dt = \displaystyle\int\ t^0 dt = \frac{1}{1 + 0} t^{0+1} =t となる。

 v_0などの定数も v_0 * 1と考え1のほうに上記の積分を与える。

 

・導出1 等速運動 \dfrac{d\ x}{d\ t} = 定数のとき

   v = v_0 である v_0は初速度であり、外力Fがかからない限り初速度のまま突き進む。初速度はもちろん0でもよいので、これはニュートンの3法則の第一法則「慣性の法則」まんまである。

 

これを積分すると

   x = \displaystyle\int \dfrac{d\ x}{d\ t} dt = v_0t + x_0

定数にはtをくっつけ、積分定数 x_0と書いた。

 

・導出2 等加速運動  a = \dfrac{d\ v}{d\ t} = 定数

 両辺積分すると v = \alpha t + v_0   (1)

物理では式の両辺の「次元」つまりは単位があってなくてはいけないので定数の次元は速度の次元を持つ。

      詳しく書けば  \alpha t^1 + v_0 t^0なので

さらに積分すると

                          x = \frac{1}{1+1} \alpha t^{1+1} + v_0 t + x_0 

                          = \frac{1}{2} \alpha t^2 + v_0 t + x_0        (2)

 となり基礎方程式である運動方程式から積分することで公式を求められた。積分を用いた場合 覚えるべきは運動方程式である。

 

最後のx=...の式を微分していくと導出の逆となる。なので微分をするスタイルの場合覚えなくてはならないのは位置xの式となる。

 

公式 最後の式は

(1)式から  t = \frac{v - v_0}{\alpha}

(2)式にこれを代入し

     x - x_0 = v_0 \frac{v - v_0}{\alpha } + \frac{1}{2} \alpha \frac{v^2 - 2v v_0 - {v_0}^2 }{\alpha ^2}

少しの計算ののち

                v^2 - {v_0}^2 = 2\alpha(x^2 - {x_0}^2)である。