月と海の満ち引き

子供の頃はよく草津港へ、ハゼ釣りをしに連れて行ってもらっていた。高校までは行っており、釣った瞬間にハゼの喉を潰し、いきのいい状態を作る友の真顔をいつまでも忘れないだろう。

釣りをしていると海の時間変化がよくわかる。海面が時間によって上昇し満潮になり、また下がって干潮になる。干潮のときは、蟹や貝を捕まえて時間を潰す。このとき岩場に生えた牡蠣やフジツボの鋭いこと鋭いこと、何回怪我をしたかわからない。

この海の変動はなにからくるのだろうか?

昔祖父が、月に引っ張られていると言っていて、子供ながら「なわけあるかい」と疑っていたが、本当だった。

重力の本質は、引力ではなく潮汐力だと学んだのは大学に入ってからで、なかなか疑問を解決するまで長くかかったものだ。

ここで潮汐力とは、ゴムボールを横に引き伸ばしたときの作用に似ている。左右に引き伸ばされ、引き伸ばしていない上と下の面は、少し中心に寄るだろう。

このゴムボールを地球だと思うと、月の方向には引き伸ばされ、それと垂直な方向は押しつぶされる形になる。

地球の地殻は固体なので変化がよくわからないが、表面の海は液体であり、変化が見えやすい。つまり、月がある面とその反対側では、海が引き伸ばされ、満潮になり、それと垂直な押しつぶされる方向では干潮になるのだ。

 

子供の頃の自分よ、本当だったぞ