月は落ちてこないの?

9月10日に美しい満月が見られ、日本でもいつもより多くの人が空を見上げた夜になったのではないだろうか。

美しいと思うのはもちろんだが、疑問もまた生まれたかもしれない。

まず初めに、なんであんな大きな丸が落ちてこないのか疑問に感じる。どんなものでも手を離せば地面に向かって落ちて行く。なににも支えられていない月がなんで地面に落ちないのだろうか。

見上げてる時間だけでは、静止しているように見える月も、何時間も経てば西から東の空へ動いているのが分かる。地球の自転で回っているように見えるとも言えるが、今回は我々は通常地球にいるので、地球が止まっているように感じ、月が動いていると見たほうがわかりいい。

つまり「円運動」している。簡単のために円運動の速さが変わらない等速円運動を仮定しよう。円の接線方向の速さは変化しないのが等速円運動である。速度の大きさは変わらないけれど、速度の方向は変わらないと円運動できないのが分かる。方向が変わるということは、加速度が生じているということになる。加速度の向きは、月から地球に向かう方向、つまり回転の中心に向かった方向を向いている。

この加速度を生み出しているのは、地球の重力だ。月が地球の接線方向に向かって速度をもつのを重力が時々刻々と地球側に引っ張っているので方向が変わり円運動する。だから落ちてこない。

よくある遠心力と重力の釣り合いという説明は、ぱっと聞く分にはわかりやすいが「月にいる人からすると正しい」という難しさがある。

遠心力はみかけの力で、加速度系という観測者自身が加速している時に感じる力で、地球から見ての疑問に適応できない。