いろんな図形の面積 三角形の割る2はどこから 円の面積まで

外を歩いているだけでいろんな形が目に入る。小学校で多くの平面図形の公式を習うが、四角形、平行四辺形、三角形、台形、菱形、円と、面積の公式で溢れかえっているので混乱してしまうかもしれない。理系の大学院にいる私も台形とか菱形に関しては使わなすぎて覚えていない。覚えるのは大変根気が必要だが、導くのは簡単であるし覚えるものも少ないので、それを今回はやってみよう。

大切なのは、知っている形に持っていくことである。

1.「四角形」

今、私達が知っているのは「四角形の面積」だけとしよう。それは縦をa、横をbとして面積Sは、

 S= ab

である。これだけを武器にダンジョンを進むことが可能である。

2.「平行四辺形」

平行四辺形は、四角形をちょうど押し倒したような形をしており、向かいあう辺同士は、長さが等しく平行である。鈍角をなしている点から底辺へと垂直に交わる線を引くと直角三角形が作られる。この三角形を切り取って、反対側へと引っ付けると四角形になる。

平行四辺形から四角形へ

 

私たちは四角形の面積公式を知っているので、底辺をa、高さをbとすると、

S=ab

となる。

3.「三角形」

さて、平行四辺形の面積が手に入った。では、平行四辺形の対角線で半分にすると、なんと三角形である。つまり面積は、

S= \frac{1}{2} ab

となる。2で割る理由は、三角形を二倍にして平行四辺形を作り、面積を求め、勝手に二倍してしまったので、元に戻すために2で割るわけである。

4. 「台形」

平行四辺形の面積から、もう一つ求めることができる。それが台形で、プリンを横から見たような形をしている。プリンの上を上底と呼びbとする。プリンの下を下底と呼びaとして、プリンの高さはhとしよう。この台形を、同じものをもう一つ準備して引っ付けてやる。

台形から平行四辺形へ



すると、平行四辺形の公式が使えて、求めたいのはその半分であるから、

S= \frac{1}{2} (a+b)  h

となる。

5.「ひし形」

ひし形は、平行四辺形の特殊な形で、すべての辺が等しく、対角線a、bは直行する。

ひし形

対角線2本が与えられているとき、上の図を見ると、三角形が4つ寄せ合ってひし形を形作っているのが見て取れる。この三角形の底辺は \frac{1}{2} aで、高さが \frac{1}{2} bであるから、三角形の面積公式は出しているので、

S = 4 \frac{1}{2} \cdot \frac{a}{2} \cdot \frac{b}{2}

= \frac{1}{2}abとなる。

 

6.「円」

ここで、少し武器を増やす。四角形の面積とこれを覚えるだけで大丈夫だ。

円に触れるには、円周率\piが必要なので、まずは円周率の定義から述べる。定義なのでルール、決め事なので覚えなくてはならない。

定義:円周率\piは、直径2rと円周Lの比で、

\pi = \frac{L}{2r}である。

この定義から円周は、L=2\pi rである。

次に、弧の長さlを求めたいので、角度の単位「ラジアン」を紹介する。非常に単純で360度を2\piラジアンとするような角度の測り方であるこれを用いると、円周が扇の角度を360度回した時なので、比を取ることにより求める。扇の角度\thetaとして、

\frac{\theta}{2\pi} = \frac {l}{L}

l= r\thetaである。

 

やっと円の面積だ。ここでも知っている形に持ってきたいので、円を非常に細かい扇形に分解する。ピザ1枚を100人の大家族で分ける所を想像してみてほしい。すると非常に細いピザが配られる。この時、本当は「弧」を描いているのだが、細かく分けたせいで直線に見える。よってこの扇形を高さr\theta、底辺rの「三角形」として近似する。これを扇の角度d\theta(dを付けたのは非常に小さいという意味)を足しあげたとき2\piとなれば、それがもとのピザの面積、求めたい円の公式を得る。

 

つまり、一つの三角形の面積s_i (i=1,2,3,,,,,)は、

s_i = \frac{1}{2} r^2 d\theta_i

これを足しあげてd\theta_1 +d\theta_2 +d\theta_3+\cdot\cdot\cdot = 2\piになれば円である。

よって、円の面積Sは、

S=s_1+s_2+s_3+\cdot\cdot\cdot

=\frac{1}{2} r^2 (d\theta_2 +d\theta_3+\cdot\cdot\cdot)

=\pi r^2と有名な式が得られた。

 

公式は使わなければ忘れてしまうが、四角形の面積くらいは覚えられる。知っている形に持っていくことができれば、あとは勝手に求めることができる。省エネでいこう。

 

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